設計・・・高松伸建築設計事務所 1995
長崎県長崎市元船町 (MAP)
周辺に散在する離島群との間の航路の拠点となるこの施設は、そのような先駆的かつ実験的な施策における第一号プロジェクトであり、従って施策の存在と意義、かつ可能ならば、いわゆるマスターイメージをも一挙に世に知らしめるという、象徴的な役割を担うべく位置づけられたものである。幸か不幸か、立地はすり鉢状の長崎湾の底に位置し、これを望む視線を遮るものはなにひとつ無い。全長96mの楕円シリンダーに逆円錐が垂直に貫入するという、これ以上無いほど祖型的な造形は、立地が有する避け難い強度と、この建築が担うべき象徴的な責務を前提として開発したものだ。
戦国の時代から港町として栄えてきた長崎港、異国の文化をこの港を通して日本に広げていった玄関口。刺激に満ち溢れていた街に相応しいターミナルビルかもしれない。
1Fから吹抜けを見た様子。