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カオサン発シェムリアップ行きのバス#4

›7 16, 2006

bus to SiemReap

筋肉性腰痛と世界のミヤサコ編

ポイペトのバスターミナルというのは、線路が敷かれていないプラットホームの様な感じの場所で、地面より少し高い場所に待合のための椅子が並べてあり、その隣にたぶんバス会社の人が事務作業を行う為のであろう小さな部屋がある。
そのバスターミナルでしばし待っていると、バスがやってきた。そのバスはNISSAN製で、中古車なのだろうか車体に漢字で何かペイントされていた。車内の後部に全員のリュックを放り込み、バスの座席につく。バスのフロントガラスは、まるで時空を超える時の衝撃でできそうな放射状に大きなヒビがあり、フロントガラスの半分を埋め尽くしていた。
そしてバスは動き出す。バスは国道5号線を走り、途中シソポンで6号線に入りシェムリアップへ向かう。

a bus to SiemReap Route 6

ポイペトからシェムリアップまでの道というのは、未舗装で至る所に穴がある。そしてバスはあらゆる最先端機能を削ぎ落とした様なバスで、サスペンションなんて物も、きっと無いに違いない。そんなバスが、その道を走れば、激しい縦揺れが僕達を襲う。水を飲む場合、ペットボトルの口が僕の口を通り過ぎ、鼻に激突したり。開けていた窓が、揺れのせいで勢いよく閉り、腕が挟まれたり。あと当然ながら、そんな揺れの中で眠れる訳も無かった。
しかし、とても乗り心地が悪そうなこのバスであるが、バンコクからアランヤプラテートまでのバスよりも肉体的にとても楽なのだ。なぜなら、筋肉性腰痛が無いからだ。筋肉性腰痛というのは、長時間飛行機やバス等に座ったりしていると、お尻が痛くなる誰もが経験しているあの中途半端な痛さである。バスの縦揺れがひどく、10分に1回の割合で体が宙に浮く。そのおかげで定期的に体の姿勢が変わり、長時間のバス移動でも腰痛なく最後まで楽に行けた。

Cambodia bridge

国道6号線はシェムリアップがあるであろう方角に一直線に伸びているようだ。というのもカーブを曲がった記憶がないし、だいいち曲がる必要がなかった。曲がると言うのは、何かを避けて通る時のみに発生し、出発地から目的地までは本来一本の直線で結ばれる。日本の道路はどこも曲がりすぎてる。カンボジアには避けて通らなければならない山や海、渋滞なんてものはないし、まわり見渡しても目に付くものが何も無い。辺り360度見渡す行為は、まるで僕を中心として地平線までの距離で円をコンパスの様に描く行為に似ている。その円の面積は地球上で人の眼で見える最大の範囲だ。日が暮れるまで、その円の半径が変わる事がずっと無かった。

ポイペトからのバスには、シェムリアップに着くまでに二度の食事やトイレ休憩がある。これは#1でも書いた時間稼ぎという意味もある。最初に休憩した所はポイペトから2、3時間走った、周りに何も無い所に一軒ポツンと建っているレストランである。おそらくカンボジア人達がここで休憩する事はないと思う。このレストランはターゲットを僕ら外国人旅行者に絞っている。なぜなら、ここで食べれる食事や売られている嗜好品がとても僕ら好みなのだ。
二番目に休憩した場所は、シェムリアップまであと2、3時間という場所に位置する国道沿いの小さな集落の商店である。バスが到着すると、その店から子供達が10人ばかり出てきて、バスを取り囲む。彼らの手には、売物であろうたくさんの手製アクセサリーがあり、彼らの目は、バスに何人乗っているのか?どこの国の人間か?というのを分析し、彼らは自分がどの様なアプローチで商品を売れば良いのか考えているようだった。彼らが分析し終えた頃、僕らもバスを降りる頃になる。
僕がバスから降りると、僕をターゲットに選んだのだろうと思われる少女が、僕の正面に立って話しかけてくる。
「ミヤサコーデス!ミヤサコーデス!ミヤサコーデス!(振付けつき)」と。
僕はこれを見て、すぐに雨上がりの宮迫博之のモノマネだと理解できた。きっと前に僕らの様な日本人旅行者に教えてもらったのだろう。こんなカンボジアの田舎の集落でモノマネされてるなんて、きっと宮迫本人は知らないのだろう。僕は結局その少女からアクセサリーを買ってあげた(そのアクセサリーはどこかに無くなってしまう運命)。そして彼女にタイムリーなアンガールズのジャンガジャンガを教えてあげた。アンガールズが消えない限り、彼女の商売はより発展するはずなのだ。

そしてまたバスは動き出す。もう外は日が暮れ、何も見えない。見えるのはバスが照らしているへっどライトの光だけ。
道路は未舗装からいつの間にか舗装された道路に変わり、そして前方から街灯の連なりが僕らを歓迎するように迎えてくれた。

SEE ALSO

#1スクランブル交差点都市編
#2デモ隊と塩喰うジャーマン編
#3旅は道連れ、所はポイペト編
#4筋肉性腰痛と世界のミヤサコ編

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